癒しの君と炎の王 2~炎の王は癒しの娘をさらに溺愛中~
結婚式まであと10日


「ロエル様!結婚式は10日後でも可能ですが、近隣諸国へのお披露目はやはり3ヶ月はいただかないと!」

「3ヶ月も?」

「招待状にしてもちゃんとした物を用意せねばなりませんし、急なご招待はやはり失礼に当たります!お日にちの設定は余裕を持たせないと。ウェディングドレスは前女王が着られていた物をサイズ直しするだけなので間に合いますが、マナーや言葉遣い、ダンスのレッスンもありますし…。」

執事のアルバートが、焦りながらロエルに訴えていた。

「分かったよ。結婚式は10日後で、お披露目は3ヶ月先でも構わない。」

と、ロエルはアルバートに根負けした形で、不本意そうに納得した。

「あと…。」

「ん?まだ何かあるのか?」

「お調べしたところ、ソフィア様はお小さい頃からずっとお祖父さまと二人でお暮らしになっていたようで…その…。」

「なんだ?はっきり言え。」

「男女の色恋沙汰は全く…。」

「なるほど。閨のことを知らないということだな。」

「はい…。」

アルバートが気まずそうに答えた。

「とりあえず、メイド長に、結婚式までに初夜の知識をソフィア様に教えておくよう言ってはおりますが…。」

「よろしく頼む。俺も初夜で逃げられるわけにはいかないから、今晩から毎晩、もっとソフィアと打ち解けられるよう部屋に通うことにする。」

アルバートは、真顔で坦々と話すロエルに一瞬頷きそうになったが、慌てて、

「いけません!夜にご結婚前の女性の部屋を訪ねるなんて!」

「心配ない。最後まではしない。」

と、ニヤリと微笑んだ。

「そういう問題ではなく!」

「しつこいぞ!大丈夫だ。」

アルバートが止めに入るのも聞かず、ロエルは部屋を出て行った。
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