癒しの君と炎の王 2~炎の王は癒しの娘をさらに溺愛中~
コンコンコン
ロエルはソフィアの部屋をノックしたが、反応がない。
もう眠ってしまったか…。
そう思いながらも、そっとドアノブに手をかけゆっくりと扉を開けると、部屋全体の灯りは消えていたが、テーブル周りの灯りだけがまだ付いていた。見ると、ソフィアがソファで、座ったまま眠っていた。
ロエルは音を立てないように、そっと部屋に入り、静かに扉を閉めた。それからソフィアの元へ近づくと、ソフィアの膝には、ずり落ちた分厚い本と膝掛けがあった。ロエルは本をそっと持ち上げると、テーブルにあった栞を挟み、音を立てないよう慎重に本を閉じるとテーブルの上に置いた。それからずり落ちた膝掛けもソファの背に掛けた。
ふと、テーブルを見ると、本がたくさん置いてあり、
王妃の心構え
ダンスの基礎
マナーレッスン
などのタイトルが目に入った。ロエルは、ソフィアに無理をさせて申し訳ないという気持ちになり、勉強しながら眠ってしまったソフィアのことが益々愛おしく感じた。
ロエルは、ソフィアを起こさないようにそっと抱き上げるとゆっくりとした足取りでソフィアを寝台へ運んだ。
そして丁寧に寝かせると、ソフィアの頭を二度優しく撫でてから、ぐっすりと眠っているソフィアの唇に優しく口づけをした。
それから、テーブルの灯りを消すと、静かに部屋を出て行った。