癒しの君と炎の王 2~炎の王は癒しの娘をさらに溺愛中~
その日の夜更け


ソフィアはソファーに座り、アルバートから大量に渡された本を必死に読んでいた。

すると、

コンコンコン

ノックの音が。こんな時間に誰だろうと思いながらも、

「はい。どうぞ。」

と、返事をすると、扉が開き、ラフな服装のロエルが入ってきた。すると、開口一番、

「ダメだよ。こんな遅い時間に誰かも確認せずに部屋に招き入れるなんて。」

と、ソフィアは怒られてしまった。ソフィアはソファーから立ち上がるとその場で、

「ごめんなさい。次からは気を付けます。」

と、ロエルに謝った。素直に謝るソフィアに照れながら、

「いや、俺は入れてくれ。」

と言った。

「ふふっ、もちろんです。ところで、今日はたくさん足を踏んでしまって申し訳ありませんでした。」

と、ソフィアは昼間のことも詫びた。

ロエルもソフィアの方へ歩きながら、

「何ともないよ。気にしなくていいと言っただろ?ソフィアに踏まれるなら喜んで足を差し出すよ。」

と、笑いながら言った。

「ちょっ、ふざけないでください。」

と、ソフィアは頬を染めながら俯いた。恥ずかしさを誤魔化す為に、

「お、お茶でも…」

と、テーブルの上の呼び鈴に手を伸ばすと、ロエルの大きな手がソフィアの手に重なった。

「呼ばなくていい。お茶はいらないよ。」

と、ロエルがソフィアの顔のすぐ近くで優しく言った。ソフィアはあまりの突然の至近距離に驚き、咄嗟にロエルの手を払い、距離を開けた。するとロエルがその行動に疑問を抱き、

「俺のことが怖い?もしかして避けてる?」

と聞いてきた。

「ち、違うんです!アルバートさんに、初夜まではロエルに肌を許さないようにと言われていて。古くからのしきたりだそうで…」

「ハハハッ!そういうことか!」

と、ロエルは笑った。その様子を見て、ソフィアは、ロエルが怒ったわけではないと思いホッとした。ロエルは、

アルバートめ!俺が言うことを聞かないからソフィアの方に防護柵を張ったな。

と、心の中で呟いた。ソフィアは少しの沈黙でも、深夜に部屋に二人きりという事もあり、耐えきれず、

「で、では、お水でも入れますね。」

と、台の上のお水が入ったポットとグラスが置かれている所に行こうとしたところ、後からロエルに腕を掴まれ、

「いい。」

と、止められた。そして、ロエルはそのままソフィアの腰に巻かれているベルトリボンに手を掛け、背中側にきれいに結ばれていたリボンをするりと解いてしまった。ソフィアは慌てて、

「な、何をなさるんですかっ??」

と、突然のことで驚き、大きな声をだした。
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