モリソン川と魔女のリュシカ。

ま、あたしは魔女だし

[ま、あたしは魔女だし]

モリソン川でリュシカとミモザは釣りをしている。釣りは単純な作業だと今さらながらリュシカは感じた。

「そういえば前から聴きたかったのよ。ミモザは彼氏はいるの？」
リュシカは質問した。
「どうかなあ。
あたしは百貨店勤めだし、華やかに見えるミドルタウンも事実、経済的には苦しいわ。
ローンの返済とかで」
「はあ」
「地権者のリュシカとは違うのよ」
「かもね。
違っている、か。
それがいわば人間らしい、ということよ。
ま、あたしは魔女だし」

リュシカはそう答えた。モリソン川が水面をきらきらと輝かせている。ゴンドール森の木々から煌めくような風がかすかに吹いている。鳥の鳴き声。それらが黄金の欠片のようにリュシカには感じられた。