王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?
それから、母親はキュリオがうそつきキュリオとからかわれ、近所の子どもから仲間外れにされていると訴えた。
(なんだか可哀想だな)
単純なクママルだが、仲間外れの寂しさはよく知っていた。
クママルの故郷であるクレイス国のある自治州は独立法治区であり、 国に属してはいるが一定の国家と変わらない政治体制がある。
それは、世界中から才ある人間が集まるあらゆる種類の修行や修養、研究、学問etc.が出来る都市ゆえにだ。
世界各国も有望な人材を派遣し修養させるほど世界トップクラスの才能が集まり、世界最先端の技術や芸術や学問や術などがその都市にある。
それゆえ、その都市に一時でも赴ける。ましてや居住を許されるのは少しでも自分に才がある者の憧れである。
世界中から羨望されるその都市でクママルは生まれ育ったのだが。
クママルは出生時に必須の判定やあらゆる検査で、生憎と否。つまりは何の才能もない判定を受けてしまった。
それゆえ、周りの子どもから仲間外れにされるばかりか迫害され、学校すら通えずに両親から母国語であるバフィーク語や計算などを学んだのだ。
自分が周りとは違うゆえの悲しみ、それがクママルには痛いほどわかる。