王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?
キュリオの母親が一度席を外し、息子を探しに出て行った。
メイフュがハーブティーを堪能していると、クママルがもじもじしているとわかる。
(こりゃあくるな、いつものが)
メイフュは予想が着くだけに、既に覚悟はしていた。
「あのさ、メイフュ……なんだかキュリオくんもお母さんも可哀想だよ。なんとかできないかな?」
なんとかって何だよ! と一般人なら突っ込むところだが、生憎とメイフュはそう言った精神はない。
ずっと心配で食欲もないのか、クママルにしては珍しくパンプキンパイにも手を着けていない。
それだけで、クママルは心底同情し本気で心配しているらしいと理解できる。
だが、だからこそメイフュは敢えて手厳しい言葉を選んだ。
「なんとかと言うが、おまえに何か考えがあるのか?」
「……あ、あるよ! 今あるお金でパンぐらい買えるもん!」
クママルはムキになるが、それこそ自分の浅はかさを露呈するだけと言うのに。
メイフュはトントンと指先でテーブルをつついた。