王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?
主人公のはずのクママルは人型の穴の下10mほど埋まったまま。誰からもスルーされていた。
積み上がったカボチャはどれも黄色く熟れきっており、品評会に出したらいい評価を得るだろうと思われた。
クロロルはカボチャの周りを慎重に嗅ぎまわり、前足でチョンとつついたり何かを確認している様子を見せる。
そして、メイフュに向かい意味ありげな七色の目で鳴いた。
「ウニャン」
それからトントン、と右前足でカボチャの皮を指し示す。
メイフュはそれに応じ、しゃがみ込んでよくよく見てみた。
すると、カボチャの皮に自然でつくにはあり得ない人工的な紋様を発見。
そのパターンからすれば、太陽を糧とする流儀の光術だろう。
「近くに術士がいるのか……」
メイフュはすっくと立ち上がり、シロロルをカバンに入れ直してクロロルに頼んだ。
「相手の目的な何にせよ、術の気配から害意は感じられなかった。先に進むぞ」
クロロルは埋もれたクママルに向かい、シャキーン*と鋭い爪を出して。
バシバシバシバシバシバシバシバシ!!!
猫パンチ20連発を食らわした。
「あいたあああっ!」
クママルが叫びながら穴から飛び出したのは、言うまでもない。