王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?




とんとん拍子とはこの事か、とメイフュは思う。


どうやら、世紀の独身貴族だったドン・ミロッテにも遂に恋が来たらしい。


それが老婆の言っていた飴の効果かはわからない。


だが、確かにドン・ミロッテはキュリオの母親を気に入り、本国に伴ってゆく。


もちろんキュリオを連れて。


明日には出立する事になり、急に慌ただしくなって荷造りをする。


クママル達もそれを手伝い、夜までかかって準備をした。


その間にクロロルはキュリオの母親に秘伝レシピを授け、パンプキンライスを作るコツを教えて特訓した。


「本当に、ありがとうございました」


10回目に作ったパンプキンライスを食べながら、キュリオの母親はお礼を言った。


「あなた方のおかげです。キュリオとともに新しい土地で頑張って暮らしていきますわ」


「いいえ、全部クロロルのおかげですよ。流石に世界一の美猫!」


クママルがおだてても、クロロルは当然。と言いたげに顎を上向かせた。


クママル達はその晩キュリオの家に泊まって翌朝見送りをすることに決めた。

< 30 / 34 >

この作品をシェア

pagetop