王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?
およそ1時間後。
クママル達は街中にいた。
折りよく何かの祭りの最中らしく、あちこちでかぼちゃのお面を見かける。
色鮮やかな旗や木彫り人形が飾られ、かぼちゃで造られた造形物もある。
人々は仮装をしてお祭り騒ぎ。
無料で料理やお酒が振る舞われ、お菓子も配られる。
クママルはなぜか子ども達と一緒に山のようにお菓子を抱えていた。
そして、また仮装をしバスケットを持った人から渡される。
「ハッピーハロン! いい子にはお菓子をあげようねえ」
「は、はい……ありがとうございます」
クママルはたじたじしながら、結局受け取ってしまう。
そしてその場を離れると必ずむくれた。
「もう~あたし15なんだけどなあ。なんでみんな子ども扱いするんだろ」
頬を膨らませながら、クママルは泣いてる子どもに気づいた。
頬を赤くして盛大に泣いた男の子の前にゆくと、しゃがんでハンカチで男の子の涙を拭く。
「どうかした? 迷子にでもなったの?」
クママルが優しく訊くと、男の子はしゃくりあげながらポツポツと事情を話した。