カタブツ竜王の過保護な求婚
だがカインはレイナの状況を気の毒に思って優しくしてくれるようになったのかもしれない。フロメシア王宮で過ごし、その気持ちがさらに大きくなったのではないだろうか。
「カインお兄さまはカミーラさまと結婚すればよかったのにって言う人がいるけれど、私はレイナお姉さまでよかったな。ユストリス王家の血統がどうとかどうでもいいもの。お姉さま、お兄さまと結婚してくれてありがとう! 大好きよ!」
「……」
今まで我慢していたものを吐き出して満足したのか、ジェマの声は明るいものに変わった。
はっと我に返ったレイナは、慌てて微笑みを浮かべた。
子供の無邪気な発言にまで傷ついていてはいけない。
ジェマは大好きだと言ってくれているのだから。
「私のほうこそ、ありがとう。私もジェマが大好きよ。それではそろそろ休憩しましょうか?」
「うん!」
声を出して笑いながら、二人は畑の真ん中にある簡素な東屋へと向かった。