カタブツ竜王の過保護な求婚
レイナはその言葉の意味することを悟って、顔を伏せたまま口を開いた。
「私は……ユストリス王国へと参ります。お兄様に――陛下にそのようにお願いしたいと存じます」
「まあ、なんてずうずうしいのかしら。私の縁談を奪おうなんて。でも仕方ないわね。可哀そうな居候のあなたに譲ってあげる。獣人の国ならあなたも少しは醜さが目立たないかもしれないものね」
「……ありがとうございます」
「そんな言葉じゃ足りないけれど、これ以上あなたが目の前にいるほうが耐えられないから今すぐ出ていきなさい。そしてお兄様に今のように床に這いつくばってお願いすればいいわ」
レイナはルルベラと侍女たちの馬鹿にした笑い声を背に、急ぎ退室した。
髪もドレスも濡れたまま廊下を進むレイナを皆が目を逸らし、顔を背ける。
だが身分が高く意地の悪い者たちはまっすぐにレイナを見て笑った。
「――レイナ様! またルルベラ様に酷い仕打ちをされてしまわれたのですね!」
「……こんなことは大したことではないわ。それよりも着替えたらすぐにお兄様にお手紙を書きたいの」
「陛下にお手紙……それほど逼迫なさって、いかがなされたのですか?」
「……」
普段、レイナは自分から王族に――義理の家族に連絡を取るなどしない。
よほどのことがあったのだろうと、乳母のノーラは心配した。
だがレイナは詳細を答えることもできず、小さく微笑んだ。
「私は……ユストリス王国へと参ります。お兄様に――陛下にそのようにお願いしたいと存じます」
「まあ、なんてずうずうしいのかしら。私の縁談を奪おうなんて。でも仕方ないわね。可哀そうな居候のあなたに譲ってあげる。獣人の国ならあなたも少しは醜さが目立たないかもしれないものね」
「……ありがとうございます」
「そんな言葉じゃ足りないけれど、これ以上あなたが目の前にいるほうが耐えられないから今すぐ出ていきなさい。そしてお兄様に今のように床に這いつくばってお願いすればいいわ」
レイナはルルベラと侍女たちの馬鹿にした笑い声を背に、急ぎ退室した。
髪もドレスも濡れたまま廊下を進むレイナを皆が目を逸らし、顔を背ける。
だが身分が高く意地の悪い者たちはまっすぐにレイナを見て笑った。
「――レイナ様! またルルベラ様に酷い仕打ちをされてしまわれたのですね!」
「……こんなことは大したことではないわ。それよりも着替えたらすぐにお兄様にお手紙を書きたいの」
「陛下にお手紙……それほど逼迫なさって、いかがなされたのですか?」
「……」
普段、レイナは自分から王族に――義理の家族に連絡を取るなどしない。
よほどのことがあったのだろうと、乳母のノーラは心配した。
だがレイナは詳細を答えることもできず、小さく微笑んだ。