カタブツ竜王の過保護な求婚
フロメシアで再び戦を起こそうと企てる者たちがいる。それも近々だと。
その情報をレイナへともたらしたのは、モレト男爵夫人。王都から離れるようにと夫人に伝えたロスタール出身の夫人。まだ陛下さえも知らない情報。病気療養中の陛下。
漠然と感じる不安はきっと正しい。レイナ一人の手に負える問題ではない。
カインに伝えたい。相談したい。そして何よりも、会いたい。
これがきっと、恋なのだ。
好きになってくれなくてもいい。ずっとそばにいさせてくれるなら。
「カイン様からのお返事は……まだよね?」
本当は聞かなくてもわかっている。すんなりと旅ができたとしても、戻るにはもう少し時間がかかるだろう。
「残念ながら、まだのようでございます。ですが戻りましたら、真っ直ぐにレイナ様の許へと駆け付けるはずですから、もうしばらくですよ」
「ええ、そうね……」
再び窓へと向き直り、黙り込んでしまったレイナに、アンヌもノーラも声を掛けることはできなかった。