カタブツ竜王の過保護な求婚
「勝手ながら、従姉には妃殿下に相談したことは伝えております。そして従姉が言うには、妃殿下がこの企ての主導者を説得してくだされば、止められるのではないかと」
本当に勝手な話である。もし王太子妃であるレイナが、事前に暴動のことを知っていて黙っていたとなれば、大問題になるだろう。
暴動にレグル王まで加担していたのではないかと誤解を招き、両国の関係がまた悪化するのは間違いない。
その上、主導者を説得するなどと、あまりにも愚かな行為だ。
「残念ながら、それは不可能です。私にはそのように大それたことはできませんから」
「ですが、今のままでは何の罪もない民が犠牲になるのですよ? まだ明日の夜までには時間があります。妃殿下のお立場からなら、きっと彼らも耳を貸してくれるでしょう。決して、御身に危険が及ぶようなことはございませんから、どうぞご安心くださいませ」
民のことを持ち出されて、レイナはうろたえた。
カインも王家の人たちも、民をとても大切にしている。地位も権力も、弱き者たちを守るためにあるのだと。
その地位と権力がレイナにもあるのだ。