カタブツ竜王の過保護な求婚
実際、証拠もないのに公爵令嬢を今回の騒動の仲間であるかのような発言をしてしまったのだ。
「も、申し訳――」
「だが、証拠はある」
謝罪しかけたレイナの言葉を遮り、カインははっきりと言い切った。
「そもそもなぜレイナの姿を見て外へ出ていたと思った? こんな夜中におかしいとは思わないのか? それも謀反人と外に出たなどと」
「そ、それは……」
レイナのドレスは着替えたものの、夜に外へ出るには不釣り合いすぎる。
カミーラが返答に窮していると、そこに拘束された夫人や傭兵たちが騎士たちに連行されてきた。
「カミーラ様⁉」
夫人がカミーラの姿を目にして、思わずといった様子で声を上げた。
それはある意味夫人が証言したも同然で、皆がはっと息を呑む。
「あ、あなたなんて知らないわ! 誰かと勘違いしてるんじゃなくて⁉ 失礼よ!」
「夫人がどう言おうと、あなたがどう言おうと何も変わらない。確たる証拠を摑んでいると言っただろう。カミーラ嬢だけでなく、公爵も今回の暴動に関わっている証拠だ」
「そんなの偽物よ! 殿下はすっかりその王女に騙されているのね⁉ いいえ、王女なんかじゃない、あの女はフロメシアの妾腹の娘よ! そんな女に――っ⁉」
レイナはもう我慢ならなくなってカミーラの頬を叩いて黙らせた。
その行動に皆だけでなくカイルさえも驚いている。