カタブツ竜王の過保護な求婚
「ユストリスもフロメシアも関係ないわ! あなたは自分が――自分たちが起こしてしまったことでどれだけたくさんの人が傷つき苦しむことになるのか考えたらどう⁉ これ以上民を苦しめないで!」
「――レイナの言うとおりだな」
「陛下⁉」
しんと静まり返った広間に、重々しい声が響いた。
それは病床にあるはずの国王で、皆が再び驚き次いで慌てて膝をついた。
「よいよい、レイナ。そなたは怪我をしておるのだろう。この場は断罪の場ではない。それは日を改めるゆえ、早く部屋へ戻って休みなさい」
「か、かしこまりました。ご配慮、感謝いたします」
「カイル、お前も何をしておるのだ。そなたはレイナについていてやりなさい。あとはわしがやる」
「かしこまりました」
レイナとカイルが軽く膝を折って部屋へと再び向かいかけると、カミーラの悲鳴じみた声が聞こえた。
ちらりと振り返ると、騎士たちに捕縛されるところで、呪いじみた言葉を発している。
「カイル様……」
「気にしないでいい、レイナ。すまなかった。カミーラ殿のことは無視するべきだった。余計な騒ぎになってしまったな」
「い、いいえ、大丈夫です」
カイルに支えられるように――その必要もないのだが、腕を腰に回され部屋に戻る頃には、レイナの胸は高鳴りっぱなしだった。