カタブツ竜王の過保護な求婚
「いや、それは思い込みというか、義務的な――」
「違います。確かにはじめは義務だったのかもしれません。好きになるきっかけだってカイン様が夫となったからかもしれません。だけど今、カイン様を好きな気持ちは本物で、お互いの立場や関係、種族なんて関係ないんです。だからどうか、私の気持ちを否定しないでください」
「レイナ……」
カインは驚いたように呆然としてレイナを見たが、すぐにぐっと抱きしめられてその表情もわからなくなってしまった。
レイナはカインの力強い腕に包まれ、広い胸に顔をうずめている。
そこで恐る恐るレイナも腕を回すと、応えるようにカインの腕に一瞬さらに力が込められた。
「私もレイナが好きだ。本当はずっと惹かれていたのに、縛り付けてはいけないと自分に言い聞かせて、拒絶されることを避けてていたんだ」
「カイン様……」
「好きだ。好きだ、好きだ。私はレイナが好きだ」
「あ……私も、私もカイン様が好きです。大好きです!」
驚くほどの告白に圧倒されたレイナだったが、なぜか張り合うように告白を返す。
それから二人は顔を見合わせ、ふふっと笑った。
お互い、拒絶されることを恐れていたのだ。
そんな笑いはいつしか沈黙に変わり、レイナとカインはただ抱き合い見つめ合っていた。
やがて二人の唇は自然に重なり、先ほど以上に熱のこもったものとなる。
その甘い衝撃に足が震えるレイナを、カインは唇を離してそっとベッドへ座らせた。