カタブツ竜王の過保護な求婚
「そ、それはその……ご、ごめんなさい」
「どうして謝るんだ?」
「いえ、その……女性が剣を握るなど、はしたないですし……」
しどろもどろに言うレイナは耳まで赤くなっている。
「まさか! そのおかげで今こうしていられるんだから、いくら感謝しても足りないくらいだ」
カインはすぐに否定すると、表情をゆるめて続けた。
「確かに、鍛練場で目にした時には驚いたが……。実戦でも使えるのだから驚いたよ」
「あれは夢中だったので……さすがに実戦経験はなかったんですけど……」
やっぱりあの時ばれていたのかと、さらには気まずそうに目を泳がせるレイナに、カインはついに吹き出した。
「捕らえられたお姫様が悪漢の手から自力で逃げ出したなんて、詩人たちも驚くだろうな。しかも情けないことに、王子と騎士たちは見ているだけだったなんて」
「いいえ、そんな……」
どうやら怒ったり呆れたりはしてないようだと、未だ笑うカインを見て、レイナはほっとした。
初めて聞くカインの笑い声は涼やかで気持ち良く、まだかすかに残っていたレイナの不安を取り除いてくれる。