カタブツ竜王の過保護な求婚
今ならずっと気になっていたことを訊ねてもいいだろうかと、レイナは意を決して口にした。
「カイン様は、その……伝説の竜なのですか?」
「伝説ではないよ。ただの竜人であって、先祖が世界創造を手伝ったなんて聞いたことはないからね」
気分を害した様子もなく冗談っぽく答えたカインは、真剣な表情に戻ってレイナをじっと見つめた。
「今まで黙っていてすまない。もし、気持ち悪いと……あなたが嫌だと思ったのなら、あなたの前で変化することはないと誓う」
「いいえ! どうかそのようなもったいないことはおっしゃらないでください!」
「……もったいない?」
「あ……いえ、その……」
勢いのままに本音が漏れてしまい、おかしなことを言ってしまったなとレイナはうろたえた。
しかしきちんと説明したほうがいいと気を取り直し、レイナはカインをまっすぐにきつめた。
「まさかカイン様が竜に変化されるとは思ってもおりませんでしたが、そのお姿はとても綺麗で神々しくて、すごく素敵でした! 本音を言えば明るい場所でじっくり拝見したいくらいです!」
そこまで言って、また暴走してしまったと気付いて焦ったレイナはカインをちらりと見た。
するとカインは再び両手で顔を覆っている。
その両手から覗く耳や頬が赤い。