カタブツ竜王の過保護な求婚
「カイン様……?」
「初めてだ……」
「はい?」
「そんなふうに褒めてもらえたのも、また見たいと言ってもらえたのも……」
「あんなに美しいお姿ですのに?」
「いや……その……ありがとう……」
レイナは照れるカインに驚いて、素直な言葉がまた出てきてしまった。
カインは困ったように口ごもり、それから小さくお礼を言う。
そんなカインが可愛く思えて、さらに好きの気持ちが強くなっていく。
それがレイナを大胆にさせた。
「また、私を空に連れていってくれますか?」
「怖くないのか?」
「怖い?」
「あのときは……あなたを助けるために必死だったからつい摑んで空へと舞い上がったが……怖がらせてしまったのではないかと……。あなたは震えていたから」
「それは……」
言いかけて、レイナはためらった。
正直に打ち明けて引かれてしまったらどうしようと不安になる。
だがきっとカインなら受け入れてくれるだろうと、続けた。
「あのときは、すごくわくわくしてしまって……。カイン様がとても綺麗で、伝説の竜はいたんだとか、空を飛ぶなんて初めてだったので……すみません」
「なぜ謝るんだ?」
「本来なら喜んでいるような状況ではなかったですから……」
「ああ、そういうことか。確かに、緊迫した状況ではあったが、私もレイナがそのように感じてくれたことが嬉しい。だから、すまない」
「そんな! カイン様が謝罪なされることでは……」
カインに謝罪させてしまったことで焦ったレイナだったが、その不毛なやり取りがなんだかおかしくなってくる。