カタブツ竜王の過保護な求婚
きっとこの先もカインはレイナの支えを必要とすることになるだろう。
それは鍛練場で剣を握る姿を見てもわかっていたのに。
もう幼い頃に生垣に隠れて泣いていた少女ではないのだ。
あの頃のレイナはとても肩身の狭い思いをして暮らしていた。
どうにか助けでもやれないかとも思ったが、そもそも自分が小鳥に変化したために鳶に襲われ、怪我をして助けてもらった身なのだ。
無事に怪我が治り、空へと解き放たれてからも、時々様子を見に行っていた。
そして国王の愛妾だった母が亡くなり、宮廷へと引き取られいうことになったとき、惜別したのだ。
これ以上思い入れを強くしてしまえば、執着してしまうと。
人間は――特に身分の高い人間は獣人を嫌う傾向にある。
竜人はとても愛情深い種族であり、一度異性に情を抱けばそれは生涯続く。
しかも元来は縄張り意識も強く、つい束縛してしまうのだ。
だからこそ、カインはレイナから距離を置き、生涯独身で過ごすつもりだった。
それが向こうから花嫁としてやってきたのだ。