カタブツ竜王の過保護な求婚
それでもレイナの意思を無視するわけにはいかないと、どれだけ耐えていたか。
正直なところ、今も耐えている。
気持ちの通じ合った今、抑えが利かなくなりそうで怖かった。
「反省はどうぞお一人でなさってください。私はあまり夜は強くないので、こちらの書類にさっさとご署名いただければ眠れるのですがね」
「そうだったな。すまない」
鳥人のフィルは普段は早めに就寝する。
竜人であるカインたちは数日眠らなくても平気であり、夜目も利く。
今回の騒動ついての報告書などにさっと目を通したカインは素早く署名をすると、フィルへと渡して下がらせた。
それから気配を消してそっとレイナの寝室に足を踏み入れる。
やはりレイナは疲れていたのだろう。
先ほど別れてからそれほど時間は経っていないが、ぐっすり眠っており、カインはほっと安堵の吐息を吐いた。
今夜の出来事でうなされたりはしていないようだ。
やはりレイナは強いなと誇らしく思うと同時に、どうしようもないほどに愛しさがこみあげてきて、カインは慌てて自室へ戻ったのだった。