カタブツ竜王の過保護な求婚

「わたくしはレイナ様にお仕えできて、本当に幸せに思っております。なぜなら、レイナ様が大好きでございますから」

「アンヌ……」

「そしてそれは、わたくしだけではございません。皆も同じ気持ちです」


 アンヌが小さく手ぶりする方へと目を向けると、ノーラはもちろんのこと、メイドたちもにこやかに笑ってうなずいた。


「みんな……」


 胸がいっぱいで苦しい。せっかくまぶたが軽くなったのに、また涙が込み上げてくる。


「……ありがとう」


 それだけ言うのが精いっぱいだった。
 アンヌは再び手を動かして、レイナの細い首に包帯を巻き始める。


「まあ、あまり申し上げても、これでいいのだとその気になられては困りますので、今まで出し惜しみしていたのですけれどね」

「ええ? 出し惜しみって何⁉ 今ので台無しじゃない!」

「ほらほら、じっとなさっててください。手元が狂って締め上げてしまいそうですわ」

「ちょっと!」


 結局、いつものやり取りに戻った二人を見て、メイドたちはくすくす笑いながらレイナのドレスを整え、ノーラは大きくため息をついて洗面器と布を下げに行った。



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