カタブツ竜王の過保護な求婚


「おはよう、レイナ」


 身支度を終えたところでちょうど現れたカインは、微笑みを浮かべて朝の挨拶を口にした。


「お、おはようございます」


 何度見ても、カインの笑顔には胸が高鳴る。
 頬染めるレイナに、カインは眩しそうに目を細めた。


「元気そうでよかった」

「はい、ありがとうございます。私よりも、カイン様はいかがですか? 今朝も騎士たちと鍛練をしたと聞きましたが、右手のお怪我は? 疲れは出ていませんか?」

「そんなに心配しなくても大丈夫だ。ありがとう」


 矢継ぎばやの質問に、カインは優しく答えた。
 それから少し遅めの朝食をとりながら、カインが困ったように切り出す。


「疲れているところ申し訳ないんだが、このあと父上がレイナに会いたいと言っている」

「……陛下がですか?」

「ああ」


 今まで一度もラゼフ王から会いたいと言われたことのなかったレイナは緊張した。
 昨夜は気遣ってくれたらしく部屋へとすぐに戻るよう言われたが、今日は今までの失態を咎められるのかもしれない。
 それともカインや皆に迷惑をかけるなんて、嫁失格だと言われるのかもしれない。
 よもや問題が解決に向かっている今、フロメシアの嫁はもう必要ないなどとは……。


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