カタブツ竜王の過保護な求婚
ぐるぐると最悪のことを考えながら、レイナは恐る恐る問いかけた。
「やはり……陛下はお怒りなのでしょうか? わたし私が――」
ダメ嫁だと。と口にする前に、カインが驚いて声をあげた。
「まさか! 怒るべきはレイナの方だろう? 父上は謝罪したいそうだ」
「え?」
「レイナにはまだゆっくり休んでいてほしかったんだが、父上がどうしても早く会って謝罪したいと駄々をこねるものだから」
「……駄々?」
カインの言うラゼフ王は、レイナの知るラゼフ王とかなり印象が違う。
困惑するレイナに、カインは苦笑して説明した。
「父上のことだが……威厳を見せるためにと、常に難しい顔をしていたら、あれで固定されてしまった。それが目下、本人の悩みなんだ。しかも、息子の嫁に会うと緊張して微笑むこともできないと、母上にぼやいているらしい」
「ぼやいて……」
「今回の仮病についても、レイナを騙して心配をかけてしまったと反省している。その上、自分はお見舞いを断らなければならなかったのに、母上だけレイナと食事やお茶を楽しんでいると、いじけていたらしい」
「いじけて……」
聞けば聞くほど、ラゼフ王の印象が崩れていく。