カタブツ竜王の過保護な求婚
それからのレイナは、驚いてばかりだった。
カインに連れられて訪れたのは、両陛下の居室。
そこでレイナとカイン、王と王妃の四人だけになった途端、ラゼフ王はレイナに向かって深く頭を下げたのだ。
どうやら王は、病で床に臥していると流布している間、ほとんどの時間を街で過ごしていたらしい。時には王妃とも。
そのため、モレト男爵夫人に扮したフロメシア出身の夫人に気付くのが遅れたと。
王妃も夫人には上手く避けられていたらしく、その存在に注意を払うことはなかった。
ラゼフ王は慌てふためくレイナの手をがしっと握り、眉じりを下げて自分の不覚を嘆き、どんなに申し訳なく思っているかを述べ始めた。――ので、カインと王妃が「はいはい」と、なだめて引き離してくれた。
そこから、いじけてしまったラゼフ王をよそに、三人でお茶を楽しんだ。
昨日の今日で、こんなにのんびりとしていいのかと心配もしたが、優秀な政務官たちに任せてあるから大丈夫だと、カインは請け負ったのだった。