カタブツ竜王の過保護な求婚
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昼過ぎからは本格的な聴取が行われた。
とはいえ、相手はカインとフィルであり、レイナはそれほど緊張することなく今回の成り行きを話した。
「それにしても、よく気付かれましたね。夫人が偽物だと。他の潜伏者については陛下も把握されておりましたが、夫人の正体については誰も気付かなかったようです。実際、カイン様に扮したレオン様がモレト男爵領でのちょっとしたいざこざを解決していたそうですからね。それも元から仕組まれていたのでしょうが……。ですから、カイン様に夫人はフロメシア出身の者ではないかと手紙で知らせてくださらなかったら、もっと大変なことになっていたでしょう」
「私は……夫人の話し方が気になって」
「話し方?」
フィルの言葉にレイナが答えると、カインが反応した。
「はい。夫人はフロメシアの中央貴族特有の話し方をしていましたから。正確には、ルルベラの周囲にいた人たち……花嫁教育の教師として派遣されてきたアデル夫人ともよく似ていましたから」
「……ああ」
カインとは一度も話したことはなかったが、時折感じたアデル夫人からの憎々しげな視線は覚えていた。