カタブツ竜王の過保護な求婚
「カ、カイン様……」
恥ずかしさで戸惑うレイナを、金色の瞳が見つめる。
「私は君に……レイナに謝らなければならないことばかりだ」
突然の主の変わり様にもフィルは驚いた様子もない。
気にした様子もなく、レイナが答えたことを書類に書きとめている。
「何の……ことですか?」
「本来ならはじめからレイナに説明するべきだったのに、巻き込みたくないと傲慢にも考えて何も語らなかった。そればかりかはじめはレイナを遠ざけようとして傷つけてしまった。本当に私は愚か者だ」
「いいえ、そんなことはありません」
「いや、そうだよ。結局、今度のことではレイナに心配をかけ、危険な目に遭わせてしまった。だからせめて、きちんと説明させてほしい」
真剣な表情のカインに応えて、レイナはうなずいた。
昨晩は中途半端なままだったので、今回のことで本当は何があったのか、きちんと知りたい。
「今回の謀反計画を知ったとき、事前にバルセス公爵が怪しいとの情報も摑んでいたので、カミーラ嬢を招待して結婚を考えていると嘘の噂を流し、油断させてさらなる情報を引き出すことにしたんだ」
「では、私はカミーラ様との仲を引き裂いたわけではないのですね?」
「ああ。余計な気を遣わせてしまってすまない」
「いいえ。私との結婚は皆様の計画を狂わせてしまったことになるのでしょう? 私のほうこそ申し訳ないことをしました」