カタブツ竜王の過保護な求婚
這いつくばったまま進むと、少し先でカサカサと小さな音がすることに気付いた。
兎でも入り込んでいるのだろうかとそちらに向かうと、小鳥がパタパタと羽をばたつかせている。
小鳥はレイナに気付いて逃げようとしたが、怪我をしているらしく上手く動くことができないらしい。
「まあ、可哀そうに……」
そう言って手を伸ばすが、小鳥は必至にくちばしで突いて抵抗する。
「大丈夫よ。意地悪したりなんてしないわ。手当してあげるから、おとなしくして。でないと他の人に見つかったら、猟犬の餌にされてしまうわ」
レイナが優しく話しかけると、まるで人間の言葉を理解しているようにぴたりと動きを止めた。
その姿がおかしくて、レイナはくすくす笑いながら小鳥をそっと手のひらに載せ、生垣から出た。
それから小鳥をそっとスカートの中に隠す。
レイナの服装がどんなに乱れていようとそれを心配する者も咎める者もいない屋敷の中を急ぎ足で駆け抜け、自分の部屋へと入った。