カタブツ竜王の過保護な求婚
昔から怪我をした小動物をよく治療はしていたが――。
「ひょっとして、あの空色の小鳥?」
「ああ。思い出してくれて、ありがとう」
「いいえ、そんなお礼を言われることでは――っ!?」
当然のことをしただけでお礼を言われることではないと否定しかけたレイナを、カインはいきなり抱きしめた。
先ほどの優しい抱擁よりも情熱的に感じられるほと力強い。
「単純に思えるかもしれないが、私たちは特に人の心の内に敏い。あなたの優しさも悲しみも伝わり、あれから何度も様子をこっそり見ていたんだ」
「こっそり何度も……」
「すまない。気持ち悪いよな?」
「いいえ。恥ずかしくはありますが、見守ってくださっていたのなら、嬉しいです」
照れて笑うレイナが可愛すぎて、カインはまたキスをした。
唇だけでなく、頬にも耳にも瞼にも。
さらに赤くなったレイナはやはり可愛い。
「……レイナに恋してしまったことは自覚していた。だからこそ、このまま傍にいては離れられなくなると、無理にでも番にしてしまうと思い、離れることにしたんだ」
「……やっぱりカイン様はお優しいですね」
「いや、あなたのためだと言いながら、本当は自分のためだったんだ。無理に番にしてもレイナが心を向けてくれなければ苦しいだけだからな。そしてお互いが不幸になってしまう。だからまさか、あなたが花嫁としてやってくるとは思わなかったし、実際には動揺してバカなことを口走り、傷つけてしまった。本当にすまなかった」
「カイン様、もうそのことについては謝らないでください。私は今とても幸せなんです。それだけで十分ですし、この幸せを大切にしたいですから」
「私も……大切にするよ。ありがとう、レイナ」
初めて出会ったときから変わらないレイナの心を感じて、カインもまた幸せに満たされていた。
この先も絶対にレイナを幸せにしようと、カインは手に入れた奇跡に感謝したのだった。