カタブツ竜王の過保護な求婚

「すまない、また驚かせてしまったな」
「い、いいえ、大丈夫です」


 困ったように笑うカインに、首を振って応えたものの、レイナの胸は激しく打っていた。
 この高鳴る鼓動が驚いたからなのか、カインが現れたからなのか、よくわからない。
 でもきっと、近付いて来るカインを見ていると、ますます胸が苦しくなるから……。


「ほら、冷たくなっている」


 カインの大きな手が華奢な肩に触れる。
 そしてレイナは温かな腕の中に包み込まれた。


「震えているが、大丈夫か?」

「こ、これは……」

「うん?」


 寒くて震えているのではない。こんなにも頬が熱くて、体は火照っているのに、寒いわけがない。
 だけど、上手く言葉にできない。


「私……」


 声を詰まらせ目を伏せたレイナを、カインはいきなり抱き上げた。


「カイン様!?」

「ここは少し肌寒い」


 ひんやりとした空気がまとう窓辺から、寝室の奥へとカインは向かい、ベッドの端にそっとレイナを下ろした。
 そのまま肘掛椅子に置かれていたガウンを取り上げ、レイナの肩に優しく着せかける。


「……ありがとうございます」

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