カタブツ竜王の過保護な求婚
「わたしも、カイン様が……大好きです」
再びカインがレイナの唇をふさぐ。
途端に、またレイナの熱が上がり、動悸が激しくなり、お腹の奥がきゅっと痛くなった。
ぼんやりとした頭の中で、これがアデル夫人の言っていた〝痛む〟ことなのかもしれないと考える。それでも、もっと、もっと欲しい。
その思いのままに、レイナはもう一度だけ勇気を出してみようと決意した。
「あの……その、もっとカイン様と一緒にいたいです。このまま……」
「……」
「ご、ごめんなさい」
黙り込んでしまったカインに、やっぱり過ぎた願いだったと、急いで体を引こうとした。――が、逆に強く抱き寄せられ、気が付けばベッドに横になっていた。
驚くレイナの唇に、また唇が重ねられる。
そしてカインの唇は、柔らかな頬へとすべり、細い首筋へと移り、ぴたりと止まった。
レイナの頭の両脇にある、カインのこぶしにギュッと力が入る。――一瞬の後、カインは顔を上げ、困ったように笑った。
「私もレイナを望んでいる。もっと一緒に過ごしたい、レイナが欲しいと。だが今は……」
カインは包帯がまかれたレイナの首に優しく触れた。
その手に手を重ね、レイナは震えながらも願いを口にする。
「今ではダメですか?」
「レイナ?」
「私はもう……待ちたくありません。だから、私のわがままを聞いてください」
「わがままではない、それは私の願いだ」
「カイン様……」
恥ずかしそうに頬を染めるレイナをしっかりと抱きしめ何度目かのキスをして、カインは小さく笑いながら言った。
「もう、〝様〟はいらない。カインと呼んでほしい」
「カインさ……カイン?」
「ああ」
その夜、初めてカインとレイナは番として結ばれた。
それからの二人は、おとぎ話のように仲睦まじく、幸せに暮らしたのだった。