カタブツ竜王の過保護な求婚
交渉団はレイナの存在を噂のように疑うことはなく――どうやら匂いで血縁関係がわかるらしい――順調にここまで輿入れは進んだ。
(でも王太子殿下は侮辱されたと思われるかもしれないわ……)
自分だけに腹を立てられるのならいい。
だがノーラたちにまで怒りが及ぶかもしれないと今になって考え、レイナは深くため息を吐いた。
いつも自分は皆に迷惑をかけてしまう。
「――姫様、そのようにみっともないことはなさらないでください」
「は――っ」
突然割り込んだ声に驚いたレイナだったが、パシンと膝を鞭で叩かれ、悲鳴をのみ込んだ。
王太子が自分を受け入れてくれるだろうかという心配に気を取られ、すっかり忘れていた存在。
それが目の前に座る花嫁教育の達人らしいアデル夫人である。
ただし、それが本当かどうかはわからない。
アデル夫人はルルベラが親切にも遣わしてくれたのだ。
そのせいか、それともレイナを単に嫌いなのか、かなり厳しく何度も鞭を振るわれていた。