カタブツ竜王の過保護な求婚
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「レイナ様、本当にお幸せそうですね」
猫の獣人であるメイドの一人がレイナの結い上げた栗色の髪に、控えめに咲く可憐な白い花を器用に飾りながら声をかけた。
レイナが今日の婚礼のためにまとった繻子織のドレスは、首元から細い手首、足先までしっかりと覆い、見事な花刺繍と相まって清楚な雰囲気を漂わせている。
それでも上半身はぴったりとした身ごろで女性らしい曲線を描き、腰から下には幾枚かのふわりとしたシフォンが重なり合い、表面をラッセルレースが飾り、優しい透明感を出していた。そして、その全てが純白である。
「だって、もうすぐなのよ? 昼過ぎにはもうわたしはカイン様の妻になっているのだわ……」
喜びに顔を輝かせ、レイナがその心情を吐露すると、メイドたちはくすくすと笑いをこぼした。
ユストリス王国のメイドたちにとって、当初レイナは侵入者であり、警戒していたのだ。
しかし、ほんのしばらくの間お世話をしただけで、レイナに差別意識がまったくないことがわかり、心からフロメシア王国の王女であるレイナを歓迎するようになっていた。