カタブツ竜王の過保護な求婚
「まあ、レイナ様! お捜ししていたのですよ。またお勉強をサボって抜け出しましたね?」
「ノーラ! 大変なの!」
「どうされたのですか?」
「小鳥が怪我をしていたの!」
「……また拾っていらっしゃったのですね」
レイナが傷ついた小動物を拾ってくるのはよくあることで、ノーラは呆れたようにため息を吐いた。
だが救急箱を取りに控室に向かう。
レイナはほっとしてノーラに見せた小鳥をチェストの上に置くと、どんな怪我をしているのかよく見ようとした。
「あなた、まるで晴れ渡った空のような色だわ。とても綺麗」
すっかりおとなしくなった小鳥はレイナの言葉にまるで礼でもするように頭を下げた。
それがおかしくてつい笑ってしまう。
そこにノーラが小鳥を休ませるための籠と救急箱を持って戻ってきた。
「レイナ様、お約束は覚えていらっしゃいますね?」
「ええ、わかっているわ。小鳥は怪我が治ったら、自然に返す。でしょ?」
「はい、よくできました。ですからあまり情を移されませんように。別れがおつらくなりますからね」
「……わかってるわ」
もうすぐこのお屋敷ともお別れなのだろう。
そうなるとノーラとも別れないといけないかもしれない。
今後どうなるのか、レイナは不安を抱えながらもノーラに笑って答え、小鳥の治療に専念した。