カタブツ竜王の過保護な求婚

 妾腹の娘だの田舎娘だのと蔑まれていても、レイナもやはり年ごろの娘。
 恋にあこがれ、結婚に夢を見ていたのだ。

 ただ今まではルルベラたちに気を遣いひっそりと過ごすしかなかった。――見つからないように大好きな庭仕事をしたり、剣の手ほどきを受けて体を動かしたりして気分を晴らしてはいたが。
 だから正直に言えば、慣れないひらひらのドレスも結い上げた髪も息苦しくて仕方ないのだが、ノーラたちはやはり女性らしさが大切だと言う。

 ――そんなの無理!

 と叫べば、すぐさまどこからともなくアデル夫人が現れ、叱責を受けた。


(夫人の耳はいったいどれほどいいのかしら……)


 何度も考えたが、その程はわからない。
 それにしても夫人が教える、淑女らしい振る舞いが女性らしさならば、この先もずっとカインに嫌われないように頑張らなくてはならない。
 それは苦痛でもあったが、カインの――夫のためなら頑張ろうと思えた。
 

「姫様、お式を挙げられる前に、大切なお話がございます」


 すべての支度が整い、立ち上がったレイナを前から後ろから厳しい目つきで検分した後、アデル夫人はそう告げた。
 同時にメイドたちと、すでに目頭を押さえているノーラ、侍女のアンヌにまで下がるように命じる。

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