カタブツ竜王の過保護な求婚
望まれぬ結婚
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ユストリス国の都、セロナムの中央にある王城で行われた婚礼は、伝統に則ったとても簡素なものだった。
澄み渡る青空に浮かぶ太陽、その燦々と降り注ぐ日射しを避けるために王城の庭に設えられたパーゴラの下に二人は並んで立っていた。
父なる太陽神、母なる大地神に見届けてもらうために、晴れた日に大地の上に直接立って結婚を誓い合うのだ。そのため、悪天候ならば式は延期になる。
最近は曇りでも強引に行われることも多いのだが、やはり皆が望むのは晴天だった。
(こんなにお天気が良いんだもの。きっと二人の未来も明るいに決まっているわ)
喜びに胸を弾ませ、式の最後を締めくくる花婿からの贈り物を受け取るために、レイナはカインと改めて向き合った。式の手順もしっかり教えられているので、ここまでは失敗もない。
贈り物には、父なる太陽の象徴である赤色の物、母なる大地から与えられた恵みが選ばれる。
一般的には愛の証である赤い花が贈られることが多いのだが、秘書官のフィルが大きめきめの盆に載せてカインへと恭しく差し出した物は違った。
太陽の光を受けて眩い輝きを放つ紅玉のネックレス。そして、芳しい香りを放つ葉冠。