カタブツ竜王の過保護な求婚
カインはこの結婚を本物にするつもりはなく、レイナを憐れんでいるのだ。
その事実は鋭い棘となって胸に突き刺さった。
レイナは瞬きを繰り返して顔を上げると、開いたままになっていたカーテンのすき間から美しく輝く満月を見つめた。その穏やかな光はレイナの波立つ心を落ち着かせてくれる。
――大丈夫。
今までフロメシアの宮殿でも上手く過ごしてきたのだから、このユストリスでも上手くやれる。
レイナは手のひらに爪のあとがつくほど強く握りしめていたこぶしを開き、深く息をすると、大きなベッドにひとり入った。