カタブツ竜王の過保護な求婚
お茶会に出席した貴婦人たちからの憐れむような視線を笑顔で受け流していたレイナは、同年代の女性が近づいてきたことに気付いた。
その可憐な顔には笑みが浮かんでおり、ひょっとして同じ人間として友達になろうと声をかけてくれるのかもしれないと期待した。
たとえそれが同情でもかまわない。
今は苦手な話題――ドレスやお菓子のことでも喜んで話に応じられそうだ。
「ごきげんよう、妃殿下。私、バルセス公爵の娘・カミーラと申します」
「――はじめまして、カミーラ様。どうぞよろしくね」
気取った挨拶はあまり好きではないが、そうは言っていられない。
レイナはできるだけ上品に微笑んでみせた。
すると、カミーラの表情からすっと笑みが消える。
「フロメシアの宝石というから、どれほど美しい方かと思えば、妾腹の姫君だったとはね」
「あの……?」
先ほどまでの笑顔が嘘のように、カミーラの顔は意地悪く歪んでいる。
レイナは何も答えることができず、ただ黙っていた。
「あなたは人間なのに、まるで泥棒猫よね。やっぱり母親に似たのかしら。私がカイン様の番なのに」
「番?」