カタブツ竜王の過保護な求婚
「先ほどのお茶会で、本当ならカイン様とご結婚するはずだった女性に会ったわ」
「まさか……」
部屋に戻るなり疲れたように呟いたレイナの言葉に、アンヌもノーラも驚き息を呑んだ。
アンヌたちも噂では聞いていたのだ。
レイナとの結婚話が持ち上がるまで、カインに親しくしている女性がいたことを。
しかしレイナと結婚した今、その女性をお茶会に招待するなど、王妃様は何をお考えなのだろうとアンヌたちは密かに腹を立てた。
「私……番なんて初めて聞いたの。アデル夫人の花嫁教育に文句ばっかり言って、本当に肝心なことを知ろうとしなかったなんて、本当にバカだわ。カイン様に拒まれるのも当然よね……」
「レイナ様……」
弱音を吐くレイナに、アンヌもノーラたちもかける言葉がなかった。
が――。
「だけど今からだって挽回できると思うの! 知らなければ学べばいいんだもの! でもそれもこんなにずっと部屋の中で過ごしているだけでは元気が出ないわ! これじゃまるで深窓のご令嬢か、どこかの国のお姫様みたいじゃない!」
「……みたいではなく、まさにその通りなのですが。むしろ今までよりも重要なお立場におなりですよ?」
レイナは胸を押さえて苦しげに訴えたが、すかさずアンヌの突っ込みが入る。