カタブツ竜王の過保護な求婚
「……私は彼女の人生に介入できない。ただ見守ることしかできないのに、あれ以上見ていることはできなかった。全てを絶ってしまわなければ、いつかきっと介入してしまっていただろう」
「それの何が悪いのか理解できませんね。大切な相手が苦しんでいれば助けたい、悲しんでいれば慰めたいと思うのが当然ではないですか?」
「悲しみも苦しみも彼女のものだ。それを番でもない私が奪うことはできない」
「――っ、ほんっと面倒くせえなあ、おい! うだうだ言ってないで、好きになってもらう努力しろよ!」
「主に向かってその言い方はないだろう」
まるで別人のような態度に変わったフィルにも、カインは驚いた様子はなく淡々と答えた。
元々はこの乱暴なほどの言動がフィルの本性なのだ。
「うるせえ! 今は幼馴染みとして忠告してやってんだよ! 真面目なのはお前のいいところではあるが、過ぎると何事も悪くなるんだ! 今のお前はただビビってるだけだろ⁉」
そこまで言って我に返ったのか、フィルは自分を抑えるように頭を抱えて屈みこんだ。
それから大きく息を吐き出す。