カタブツ竜王の過保護な求婚
そんな微妙な空気で食事も終わり、まだ執務が残っているからと去って行ったカインを見送ってから、レイナははっとした。
「しまった! 私ばかりしゃべってしまってたわ!」
「え? 今ごろ気付いたんですか?」
ずっと側に控えていたアンヌの冷静な突っ込みも耳に入らず、レイナは頭を抱えて嘆いた。
「ああ、カイン様はきっと、なんておしゃべりな女だろうって思われたに違いないわ。これじゃあ〝お淑やかな女性を演じてカイン様のお心をがっつりつかむぞ!〟作戦が台無しじゃない……」
「その作戦では、何もかもが台無しです」
「ええ!? どこが!? やっぱり作戦名がまずいかしら?」
「……名前の問題ではありません」
「そんな! 頑張って考えたのに!」
「……」
色々と明後日の方向に進んでしまうレイナの思考に、アンヌはがっくり肩を落とした。
と、レイナが急に元気を失くしてうつむく。