カタブツ竜王の過保護な求婚
憂鬱な里帰り
1
「式は簡素だったが、気負わずにすんでよかったよ」
「はい。レグルお兄様らしくて……」
言いかけて、ふと花嫁のことを思い出し、レイナは口をつぐんだ。
兄であるレグルの結婚式に出席するために、カインと一緒にフロメシアに里帰りしたのが昨日。
落ち着く間もなく式に参列したレイナたちは、祝宴前に用意された客間に戻ってほっとひと息ついたところだった。
兄の結婚式はフロメシアの王としてはとても簡素なものだったが、カインは好印象だったらしい。
実際、レイナも堅苦しく豪華なものでなくてよかったと思っていた。
だが緊張しているだけだったのかもしれないが、花嫁の顔色はあまりよくなかったのだ。
そのことを思い出し、レイナは花嫁のことを考えた。
レグルは当然のことながらフロメシアの令嬢たちの間で人気があり、花嫁となれたなら誰でも大喜びだろうと思っていたが違うのかもしれない。
今回の縁組は国内の情勢を安定させるために力ある公爵家と血縁関係を結ぶためのものだと聞いていた。