カタブツ竜王の過保護な求婚
 
 花嫁の顔色の悪さだけでなくレグルの冷めた表情からも、二人の先行きが心配になってくる。


(でも、私には力になれないわよね……)


 自身の結婚生活さえ満足に送れていないレイナには、花嫁の幸せを願うくらいしかできない。


「……レイナ」

「はい、カイン様」

「その、今さらずうずうしいのはわかっているが……結婚をやり直させてくれないか?」

「――え?」

「あの初めての夜、私はあなたに対してとても冷たかったと思う。だがあれは本心ではないというか……その、あなたを縛りつけたくなかったんだ」

「私を……?」


 カインの言葉にレイナは息が止まるかと思った。
 結婚をやり直したいとは、別れたいという意味だと思ったのだ。
 だが違うらしい。
 今ひとつ理解できないでいるレイナの隣に席を移し、カインは膝の上で握りしめた小さな手に手を重ねた。


「私は……私たちの種族は特に執着心が強い。一度手に入れてしまうと、もう手放せなくなってしまう」

「カイン様……」


 たとえ本能のせいでも自分を求めてくれるなら嬉しい。
 レイナはその気持ちを伝えようとして、カインの悲しそうな表情に気付いた。


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