カタブツ竜王の過保護な求婚
そんなレイナを押しのけるようにルルベラがカインへと走り寄った。
「まあ、殿下。もうお話は終わられたのですか? でしたらお茶をご一緒しましょうよ」
ルルベラはレイナの前で堂々とカインの腕に絡みつき、サロンのほうへと足を向ける。
しかしカインは歩き出すことなくルルベラの腕をそっとほどいた。
「申し訳ないが、私は妻と過ごしたいんだ」
「なっ⁉」
カインはルルベラに冷ややかに告げると、レイナに申し訳なさそうな困ったような笑みを向けた。
そして手を差し出す。
「行こう、レイナ」
「――はい」
嬉しくて嬉しくて、レイナは迷わずカインの手を取った。
カインがいてくれるなら強くなれる。
そのまま手を握って部屋へと戻るレイナの背を、ルルベラは憎しみを込めて睨みつけていた。