カタブツ竜王の過保護な求婚
ここで言い返してしまっては騒ぎになってルルベラたちの機嫌を損ねかねない。
そう考えて、いつもなら怒りを抑えていたレイナだったが、今回は我慢しなかった。
自分のことならともかく、今は祖国となったユストリスを――カインの愛する国をバカにされたのだ。
「アデル夫人は私に礼儀の何たるかを教えてくださったのに、あれは口先だけでしたのね」
「何ですって?」
「相手に敬意をもって接するという基礎中の基礎もできないなんて、礼儀以前の問題ではないかしら? それも事実無根の言葉で貶めるなんて……。それともあまりにも閉鎖的な考えに囚われすぎて、他者を認めることさえできないのかしら? それは改められたほうがよろしいかと思いますわ。しかも身分が上の者に対する態度もなっていないなんてね」
「なっ、何を……っ!」
反撃を予想していなかったのか、レイナの正論に返せないからか、アデル夫人は真っ赤になっている。
周囲の者たちも唖然とする中、久しぶりに聞く声が割り込み、レイナの背筋が凍った。
「まあ、ずいぶん偉くなったのね、泥棒猫の子は」
「お、王妃陛下……このような騒ぎを起こしてしまい、申し訳ございません」
アデル夫人が急ぎ膝を折り、謝罪する。