カタブツ竜王の過保護な求婚
皆もルルベラが嫁ぐことを拒否したことは知っていながらも、レイナに批判の眼差しを向けた。
「ルルベラはなんて健気な子かしら。やっぱりユストリスの王太子妃に相応しいのはルルベラよ。お前のような者が就いていい立場ではないわ。すぐにでも王太子殿下に謝罪して、離縁を申し出なさい」
静かな声であったが、ルルベラとは比べものにならないくらい威圧感があり、レイナは全身が震えた。
それでも必死で声を絞り出す。
「い……いや、です……」
「何て言ったの? よく聞こえなかったわ。もう一度言ってごらんなさい。ちゃんとはっきり『はい』とね」
「――いやです! カイン様の妻は私ですから!」
もう一度初めからやり直したいと言ってくれたカインに応えるためにも、レイナはありったけの勇気を出して訴えた。
途端に今まで以上に場内は緊張した空気に包まれる。
「なんて卑しい――」
「これは何の騒ぎだ?」
レイナはまた詰られると覚悟したが、兄のレグルの声が割り込み驚いて閉じていた目を開けた。