カタブツ竜王の過保護な求婚
「レイナ様! ――で、殿下もご一緒でしたか。失礼いたしました」
客間に戻った途端、ノーラとアンヌが駆け寄ろうとしたが、カインに気付き慌てて足を止める。
そして頭を下げる二人に、気にするなというようにカインは手を振る。
「お茶の用意をしてくれるだろうか? レイナはほとんど飲んでいないようだから」
「かしこまりました」
実際、先ほどのお茶会ではお茶を一口も飲んでいなかった。
なぜわかったのだろうと不思議に思ってカインを見上げた。
「ちょっとした特技のようなものなんだ。集中して意識を広げれば、近くで起きていることがだいたいわかる」
どうやら表情から疑問に思ったことが伝わったらしい。
困ったように言うカインの説明に驚いて、レイナはぽかんとしてしまった。
耳がいいと言っていたが、それどころではない。
「すまない。気持ち悪いと――」
「ちょっとしたどころではないですね! すごいです! ご家族の皆様もお出来になるのですか?」
「え?」
「あ、申し訳ありません。踏み込んでしまいました」
今度はカインがレイナの反応に驚いたようだった。