カタブツ竜王の過保護な求婚
唖然とした様子のカインを見て、レイナは興奮してしまったことを謝罪した。
「いや……かまわない。謝らないでくれ」
「……カイン様は――」
レイナは勇気を出して何の獣人なのか訊きかけたが、また困ったように笑うカイン見て口をつぐんだ。
もし教えてくれなかったら、と思い、怖くなったのだ。
そこにノーラとアンヌがお茶の用意をしてやってきた。
「ありがとう。それを置いたら、二人きりにしてくれないか」
「はい」
お茶会に出かける前は心配そうに顔を曇らせていたノーラとアンヌも今は安堵の笑みを浮かべていた。
カインは使用人にもお礼を言う。
そんなところもレイナがカインにすぐに心惹かれた理由の一つだった。
はじめは冷たい言葉をかけられたと思ったが、それもレイナを思ってのこと。
――執着してほしい。手放さないでほしい。番にはなれなくても。
レイナは溢れる想いを口にできないままカインの言葉を待った。
「……レイナは、怒っていないか?」
「え? 私がですか?」
「ああ。いくらあなたが侮辱されたとはいえ、あなたの家族に危害を加えてしまった。しかも兄君には皆の前で頭を下げさせることになってしまっただろう?」
レイナがいったい何に怒るのか、逆ではないのかと思ったが、申し訳なさそうなカインの説明で理解した。