カタブツ竜王の過保護な求婚

「――うん。うん。家族になろう。いや、もう家族だ。それにレイナには私だけでなく、父も母も弟も妹もいる。もう少し政情が落ち着いたら、みんなで集まることもできるだろう」


 そう言って、カインは立ち上がるとレイナの隣へと席を移動した。
 そしてレイナの手を取り、そっと口づける。


「約束しよう、レイナ」

「――あ、ありがとうございます」


 カインが何の獣人なのかはまだわからない。
 だがそんなことはどうでもいいくらいにカインの言葉は嬉しくて、こみ上げてきた涙を見られたくなくてレイナは顔を伏せた。
 すると逞しい腕に抱き寄せられる。
 レイナは胸のときめきとともに初めての安心感に包まれて、恐る恐るながらもぎゅっとカインを抱きついたのだった。


< 95 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop