カタブツ竜王の過保護な求婚
「――うん。うん。家族になろう。いや、もう家族だ。それにレイナには私だけでなく、父も母も弟も妹もいる。もう少し政情が落ち着いたら、みんなで集まることもできるだろう」
そう言って、カインは立ち上がるとレイナの隣へと席を移動した。
そしてレイナの手を取り、そっと口づける。
「約束しよう、レイナ」
「――あ、ありがとうございます」
カインが何の獣人なのかはまだわからない。
だがそんなことはどうでもいいくらいにカインの言葉は嬉しくて、こみ上げてきた涙を見られたくなくてレイナは顔を伏せた。
すると逞しい腕に抱き寄せられる。
レイナは胸のときめきとともに初めての安心感に包まれて、恐る恐るながらもぎゅっとカインを抱きついたのだった。