カタブツ竜王の過保護な求婚
それはカインの言葉をもらったからだ。
だから今、少し厳しいカインの問いにも迷うことなく答えることができた。
するとカインが優しく微笑んだ。
途端に周りの空気が熱を帯びてきているのか、体がほてってくる。
そんな二人の様子を、アンヌと護衛たちは静かに見守っていた。
はじめは二人の仲を心配していたが、どうやら大丈夫そうだ。
それどころか、頬を染める妃殿下に寄りそう王太子殿下という図は、仲睦まじくも見える。
フロメシアへの帰省は特に心配だったが、カインとの仲が深まったようでアンヌたちは安堵していた。
そんな一行とは別に、二人を見ている者たちがいた。それもかなり遠くから。要するに、王城のあちこちの窓から。
どうやらこのまま不仲説は消えそうだとアンヌは考え、嬉しそうなレイナを目にしてさらに嬉しくなっていた。
「ここは皆の視線がうるさい。だから……もしよければ少し付き合ってくれないか?」
「は、はい……」
カインの突然の誘いに、レイナは遠慮がちにうなずいた。
本当はまだカミーラのことが気になるが、やはりカインに誘われると嬉しい。